「俺がお前の4番目の候補になってやるよ」 LINEでやりとりをするような仲ではなかった。 けどこの時は何となくな流れで会話が続いた。 気付いたらそいつと通話をしていた。 深夜だったからどうかしていたのかも知れない。 今となってはよく思い出せないけれ…
「おい、お前」 初めて地上の人間と目が合った。 綺麗な恰好をした、気の強そうな顔をしたおねえさんだった。 今が昼なのか夜なのか全くわからない、そんな地下室で私は微かに光を見た気がした。 「じゅう、にじゅう、さんじゅう…」 いつも私にご飯をくれる…
死んだら神様のパシリになりました。 今は夜な夜な他人の夢に現れて、 人に「憶い出」を渡すお仕事をしています。 「おねーさんは、死んだ人?」 「うん、そうだよ。高3の時かなあ」 「…おねーさんはなんで死んだの?」 「んー、なんだろね。色々思いはあっ…
神なる者から呼び出しを食らった。 「汝、またつまらぬことをしよって」 「…何のことでしょうか?」 「女児に余計なことを吹き込んだのではあるまいか」 「そそ、そんな。滅相もございません」 「以後気をつけよ」 「ぎ、御意…」 へつらうように、苦々しい笑…
小さな石を渡された。 「おねえさん。これ、なあに?」 「これはね、“憶い出”っていうんだよ」 「…オモイデ?」 「うん」 「透明なんだね、オモイデ」 「そうだよ」 半透明のおねえさんが渡したそれを、僕は小鳥を扱うように大事に両手で抱えた。 僕のオモイ…
新宿駅の東南口にある大きな喫煙所を出たところで、不思議な男と出会った。 「お嬢ちゃん若いねえ、タバコ吸うんだねえ」 「え?…ああ、まあ。家族も吸ってたので」 「そうなんだあ。…おじさんにも、一本くれないかなあ?」 真冬だというのにぼろぼろの薄着…